本記事では、自然農法における雑草対策について解説します。
農薬を使用しない自然農法において、「雑草は天敵!」とお思いではないでしょうか?
実は、雑草を生やすことは悪いことばかりではないのです。
自然の中で野菜や作物を育てる農業において、雑草対策は避けて通れないですが、自然農法では雑草と上手に折り合いを付けて作物を育てます。
目次
自然農法における雑草対策の考え方
まずは雑草に対する考え方を押さえましょう。
- 作物と雑草は成長競合関係にある
- 雑草にはメリット・デメリット両方ある
作物と雑草は成長競合関係にある
人間が食べるために植える野菜などの作物と、自然に生えてくる雑草はお互いに成長を競い合っています。
しかし、雑草の方が成長速度が速いので、放置していると作物の葉より雑草の葉の方が高くなり、作物の光合成が阻害されてしまいます。
その結果、さらに作物と雑草の成長に差が生じ、最終的には作物が雑草に完全敗北してしまいます。
また、植物は自分以外の作物の成長を阻害しようと、根から化学物質を放出しています。
これを「アレロパシー」といいます。
化学物質を放出する強さは、植物の成長度に比例する感覚が私の中には経験としてあります。
雑草が大きくなればなるほど、作物の成長を阻害する化学物質が多く放出されるということです。
これを踏まえて、私たち農家は、「雑草に対して作物をいかにして勝たせるか」を考えることが重要になってきます。
雑草を生やすことのメリットとデメリット
一般的には「雑草を生やすことは全くもってダメ!」という認識が強いですが、ネガティブなイメージが強い雑草にも生やすことによるメリットがあります。
雑草を生やすことのメリット
- 雑草の根が土を耕してくれる
- 地中深くの養分を地表に循環させる
- 益虫の住処になる
雑草の根が土を深くまで耕す
雑草は根が強く、野菜などの作物よりも根を深く大きく張ります。
雑草は固い土をもかき分けて、野菜の根では到底届くことが無い深さまで根を伸ばしてくれるのです。
土の固い層まで雑草の根が伸びることで、固かった土が雑草の根によってほぐされていきます。
つまり、作土層(野菜が生活できる範囲)が深くなっていきます。
地中深くの養分を地表に循環させる
雑草は地中のかなり深いところまで根を伸ばし、深いところの養分も吸収して成長します。
地中深くから吸い上げられた養分は雑草の姿形を維持するためなどに使用されますので、地中深くの養分が雑草の枝葉に固定されたことになります。
ある程度大きくなった雑草を刈り取り、それを草マルチなどに利用すると、地中深くの養分が地表部に供給されることになり、地中から地表への養分の循環を作り出すことができるのです。
益虫の住処になる
畑にとって益虫となるカマキリやクモなどの昆虫は、ある程度高さのある雑草が生えていないと住み着きません。
私の畑の場合、トマト栽培に使用した支柱に大型のクモが巣を張っていましたが、その高さは大体地表から1mくらいのところでした。
高さのある支柱を設置したのは、トマト栽培の時が初めてでしたが、それ以前は畑で大型のクモを見かけたことはありませんでしたので、大型のクモが住み着くには、何かしら1m以上のモノがないといけないのだと思います。
雑草ではないですが、エンバクなどの緑肥を圃場内、若しくは圃場の外周に植えておくことでカマキリやクモなどの益虫を意図的に呼び込むことができると考えています。
雑草を生やすことのデメリット
雑草を生やすことはもちろんメリットだけではありません。
- 作物の成長を阻害する
- 害虫の住処になる
- 生やしすぎると病気が発生する
作物の成長を阻害する
先にも述べましたが、雑草は作物と成長競合の関係にありますが、感覚的にもおわかりの通り、雑草の方が茎や葉が大きくなる速度は速いです。
つまり、何の手入れも行わなければ、作物は雑草との競争に負けてしまうということです。
雑草の方が大きくなる速度が速いので、すぐに作物よりも背が高くなり、作物に当たるはずの日光を遮ってしまうのです。
また、雑草の方が大きくなると、雑草が出す化学物質(アレロパシー)によって作物の根張りが阻害されてしまいます。
害虫の住処になる
良い雑草は益虫をもたらしますが、悪い雑草は害虫を呼び込みます。
例えば、カメムシはイネ科の雑草に付くことが知られています。
田んぼの畦のイネ科雑草を放置していると、稲の出穂期~登熟期の間にイネ科雑草に付いていたカメムシが稲に移り、お米の部分を食べられてしまうというのは米農家の大きな悩みの種です。
生やしすぎると病気が発生する
雑草は所せましと生えるので、雑草が繁茂している箇所は風通しが悪くなります。
風通しが悪くなると、空気の循環無くなり、病原菌やそれをもたらす虫の温床となり、作物に病気が発生する原因になります。
「成長競合」「メリット・デメリット」これらについて知っておくと、雑草は必ずしも悪ではなく、良い面もあるのだと分かります。
これらを踏まえて、では実際に雑草とどう向き合い、対処していけばよいのかが次の問題です。
自然農法における実際の雑草対策
畑における雑草への対策をご紹介します。
- 作物の近辺の雑草は根から抜く
- 作物から遠い畝間などに生える雑草は高く刈る
作物の近辺の雑草は根から抜く
植え付けた作物の近辺(畝の上部から肩にかけて)に生える雑草は根ごと抜きます。
根ごと抜くということは、雑草による土の耕し効果(メリット)は捨てるということになりますが、それ以上に作物の近辺に雑草を生やすことのデメリットの方が大きいので、このような対応を取ります。
雑草を根ごと引き抜くことで、また雑草が生えるにしても、種の状態からのスタートとなります。
いくら成長が早い雑草といっても、種の状態から作物よりも大きくなろうとするとそれなりの期間を要するので、この時間的・成長的アドバンテージを利用して、作物を雑草との成長競争に勝たせるのです。
また、「作物がある程度大きくなった状態 vs 雑草が種」の場合、作物の根が出す化学物質(アレロパシー)の方が強くなり、雑草の根の成長が阻害されます。
これも、作物が雑草に勝てる要因となります。
作物から遠い畝間などに生える雑草は高く刈る
一方、作物から離れた箇所(畝間など)に生えている雑草は、雑草の根の耕し効果を期待し、根ごと引き抜くということはしません。
畝間に生えた雑草は大きくなったとしても、作物に当たる日光を阻害する可能性は低いからです。
また、ある程度「高く刈る」ことで雑草が新たに茎や葉を伸ばす速度が遅くなることが知られています。
特にイネ科の雑草は、根と地上部の間に生長点があり、そこを刈ってしまうと生長点に刺激を与えてしまって、かえって雑草の成長速度を速めてしまうということがあります。
これではいくら刈っても草刈りが終わらない、という地獄の無限ループに陥ってしまいます。
草を刈る際は「高く刈る」を意識しましょう。
具体的には地表から10~15cmくらいを残して刈るようにすれば良いです。
自然農法における雑草対策 まとめ
本記事では、自然農法における雑草対策について解説しました。
本記事の内容をおさらいしましょう。
- 作物と雑草は成長競合関係にある
- 雑草にはメリット・デメリット両方ある
自然農法においては、雑草に対する考え方を従来のものから置き換える必要があります。
「雑草と作物は成長競合の関係にある」
「雑草を生やすことはデメリットばかりでは無くメリットもある」
こういったことが分かれば、「全ての雑草は悪!」といった考えから解放され、楽になると思います。
- 作物の近辺の雑草は根から抜く
- 作物から遠い畝間などに生える雑草は高く刈る
自然農法では、作物と雑草の関係を理解し、自然の法則に従って対処することが必要です。
作物に近い所に生える雑草は作物の光合成を阻害する可能性があるので、根から抜き作物に時間的・成長的アドバンテージを与える。
畝間などの作物から遠い箇所に生える雑草は、雑草の根の伸長による土の耕し効果を期待し残すが、大きくなりすぎている場合は高く刈る。
これらが重要となります。
自然農法において、雑草は生やしすぎてもダメだし、無くしすぎてもダメということですね!
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。